研究概要 |
本研究では,知能・言語能力における前意識過程の重要性を認識し,関連する空間などの認知の脳内機構を,モデル化と脳機能計測の両面から探るものである。研究目的の4項目を遂行するため,本年度では以下の研究を遂行し,成果を得た。 [1]前意識過程における空間および関連認知機構解明のため,左右聴覚神経系の相互連絡を有する多段中継核構造に着目して,これらの系をアセチルコリン,グルタメート,セロトニンなどの神経伝達物質・調節物質関連のシナプス・神経回路モデルにより表現し,シミュレーションを通じて,妥当性を検証した。 [2]知能・言語障害の検査および定量化法の開発のため,従来の言語・知能検査課題をオンライン化し,さらに視覚映像・音声同時呈示を可能として,音像空間定位や左右耳および左右上下視野に呈示された音声の特徴量,環境音,音声,音楽,文字,顔表情の同時呈示パターンに選択的注意をはらう検査課題を確立した。 [3]多チャンネル脳波・脳磁図から,知能・言語関連の前意識過程における脳活動を探るため,電磁シールド型音響川力装置を用いた非言語刺激,音声・音楽刺激,さらに視聴覚同時刺激に対する中潜時電位のN20, P30-N50-P60複合,さらにMismatch Negativityおよびガンマ波の抽出と同定を行う検査解析システムを構築した。 [4]前意識過程における脳活動情報の時間空間解析に基づく知能・言語障害評価法の開発のため,脳皮質3次元像,脳機能情報の時問・空間映像,神経・シナブス回路モデルの電気的,化学的動態を同時呈示するプログラムの基本部を作成し,脳活動情報解析装置とともにシステムの試作をした。
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