研究概要 |
骨粗鬆症は若年齢者にも多く見られるようになりX線法による骨密度検査だけでなく海綿骨骨梁の可視化技術の確立が医療現場からも強く望まれている.現在の超音波による骨粗鬆症評価法は,踵骨内を伝播する時間(骨量大の時は伝播速度大)による比較試験である.しかしながら,骨粗鬆症による骨は局部的な骨の欠落や骨構造が変化して力学的健全性が低下している.すなわち,海綿骨内部構造の可視化と骨密度の定量化が重要である. 本研究の目的は,超音波CT法による海綿骨内部の3次元骨梁構造可視化技術の開発である.軟組織用の医療超音波装置を改造し,新しく開発した信号処理法により海綿骨モデルを画像化した.この結果をマイクロX線CT画像と比較を行い本法の有効性を確認した.本研究においては以下のような手順で研究を進めた. 1)海綿骨画像化に必要な周波数と伝播特性についての基礎的データ取得 2)海綿骨モデルを用いた画像化における信号処理法の開発 3)マイクロX線画像との比較による最適信号処理条件の検討 4)生体骨への応用(手作業信号処理によるため一次元画像のみ処理) 5)得られた構造に対する強度(縦弾性係数)を有限要素法により解析した 6)2D骨密度(骨面積密度)が25〜50%の範囲に対する縦弾性係数(ヤング率)を数式化した 以上の結果により実用化への可能性を認めた.今後の課題としては,海綿骨に対する超音波CTに最適なプローブの開発,信号処理法の高速化,標準海綿骨試験片の開発などが必要である.
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