最近開発されたセリア系ジルコニア/アルミナ複合セラミック(以下Ce-TZP/A)の、生体親和性、相安定性、耐摩耗性について調べた。生体親和性:36匹のウィスターラットの腰部傍脊柱筋内に、Ce-TZP/AとAluminaの試験片(φ2×6mmシリンダー型)をatraumaticに埋入し周囲組織の反応を比較検討した結果、ともに経時的に炎症細胞が減少し、24週では細胞成分の少ない線維性被膜に被われ、その厚みに有意差は無かった。相安定性:Ce-TZP/AとY-TZPのプレート型試験片を加速劣化の意味でオートクレーブ(121℃、0.12MPa)処理し、単斜晶量についてXRDで調べた結果、Y-TZPが18時間で0.4%から25.3%へと増加したのに対して、Ce-TZP/Aでは、5.7%から6.8%とほぼ相転移を示さなかった。耐摩耗性:Ce-TZP/A、Aluminaにつき、試験条件を往復運動(1Hz、46mm/s)、水潤滑、面圧11.3MPaとしてpin-on-disk磨耗試験機を用いたセラミック/セラミック磨耗試験を行った結果、Ce-TZP/Aの磨耗量は0.55±0.4×10^<-7>mm^3/Nmであり、Aluminaの2.12±0.37×10^<-7>mm^3/Nmより低磨耗であった。本研究で、Ce-TZP/Aは従来のセラミックスと同等の親和性をもち、相安定性および耐磨耗性にも優れていることがわかった。今後さらに研究が必要であるが、人工関節摺動面材料として期待できると考えられる。
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