生理的指標を継時的に測定するソフトとして基礎医学研究用システムを購入するとともに、測定環境を整備する。すでに整備されている心電図(以下ECG)、呼吸曲線、表情筋電位などの手法を用いて、楽曲聴取による生理的・心理的変化に関する実験を行った。 健常成人11人(男5人、女6人、年齢20歳前後)の各人が選んだ好みの楽曲20曲を独立変数として、聴取前の状態に対する聴取中、聴取後状態の変化を測定した。聴取前の状態を統制するために音楽と異なる聴き取り課題を行い、聴取後は無音で安静を続けて、残存効果を評価した。従属変数には、ECG、呼吸曲線、表情筋電位を生理学的指標として測定したのに加えて、心理指標として多面的感情状態尺度(MMS)を測定した。また各楽曲への態度的要因、また楽曲の類似性に関する評定を個人ごとに行い、楽曲の刺激布置を定位した。 測定データに基づき、ECGのR-R間隔のスペクトル成分、呼吸曲線の振幅、間隔、表情筋電位の全波整流積分値などを算出し、自律神経系および情動反応の評価指標とした。これらとMMS、刺激布置との相関を検討した。 得られた結果から、音楽への個人の心身反応にある程度一貫性が成り立つことが、示唆された。 この結果は、平成15年3月9日に行われた日本音楽療法学会第2回学術大会にて口述発表を行った。
|