研究概要 |
本研究計画は,まず,脳磁界計測データから脳活動の時間・空間パターンを再構成する手法を開発し,さらに,これを用いて脳の言語処理過程の解明をめざすものである. 脳活動の時空間パターン再構成技術に関しては,研究代表者の関原が本研究の海外共向研究者らと共に信号源の再構成手法を提案し,その有効性を示す基礎実験の結果を発表した.H14年度はH13年度に引続き提案法の性能を決める要因や誤差を生じる原因についての解析を中心にした研究を行なった.すなわち,H13年度研究では主に信号源の時間相関が信号源再構成にどのような影響を与えるかについても理論的な解析を行ない,この結果はIEEE Biomedical Engineering誌に発表した.H14年度はさらにこの手法に関して,測定環境に存在する妨害磁場の影響,空間解像度の決定要因および多数のノイズ源からなる生理学的ノイズの影響などの解析を行なった.これらの解析の1部はIEEE Biomedical Engineering誌に投稿中である.またこの方法の有効性を示すため正中神経刺激によって全頭型磁束系で測定した体性感覚誘発脳磁界に適用し脳磁界計測でははじめて小脳の活動を捉えることが出来た.この結果はJournal of Clinical Neurophysiology誌に投稿中である. 共同研究者のメリーランド大学認知脳科学研究所のPoeppel教授は話し言葉の脳でどのように処理されていくのかを解明する事を究極の目的としてまず,ヒト聴覚野の周波数応答を計測している.このデータに提案した信号源再構成手法を適用したところヒトの1次聴覚野とその周辺領域でのインタラクティブな脳活動を見出す事が出来た.H15年度はさらにデータを積み重ねヒトの聴覚野の活動に関して新しい知見を得ることを目指す.
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