研究課題/領域番号 |
13680961
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研究機関 | 川崎医療短期大学 |
研究代表者 |
望月 精一 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (60259596)
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研究分担者 |
平松 修 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 講師 (50208849)
松本 健志 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (30249560)
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
木本 眞須美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
立花 博之 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助手 (00241216)
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キーワード | 血液汚染 / 一酸化窒素(NO) / 酸化ストレス / スーパーオキサイド / 高血圧 |
研究概要 |
本年度は、血液透析患者の透析治療に至る主な原因である糖尿病、また合併症としての高血圧症を含む様々な病態におけるNO合成系、酸化ストレスマーカー、スーパーオキサイドの計測を行った。 高血圧、糖尿病、インスリン抵抗ラットにおけるNO合成阻害因子(ADMA、DDAH、BH_1、尿中8-OHdG)の挙動の評価およびインスリン抵抗ラットにおける抗高脂血症薬投与前後の治療効果について評価した。ADMAは、内因性のNO合成酵素阻害因子、DDAHは、ADMAの加水分解酵素で様々な病態においてこの酵素の活性低下が示唆されており血中ADMA濃度が上昇することによりNO合成が阻害されると考えられている。BH_1は、NO合成酵素の補酵素であり、BH_1の濃度低下によりNO合成が阻害されると考えられている。尿中8-OhdGは、酸化ストレスのマーカーとして使用されている。 高血圧、糖尿病ラットのいずれにおいても、血漿中BH_1濃度の低下、血漿中ADMA濃度の上昇、心筋組織中DDAH活性の低下が見られた。そして、こうした病態モデルにおけるNO合成障害に内因性NO合成阻害因子として酸化ストレスが関与することが窺われた。また、インスリン抵抗ラットにおけるNO合成障害に対して、抗酸化作用をもつ抗高脂血症薬(fluvastatin)剤の有効性が示唆された。 一方、高血圧ラット(Dahl食塩感受性ラット)の摘出組織を対象として代表的な活性酸素種であるスーパーオキサイドを化学発光法により計測した。コントロールラット摘出臓器では、心臓、腎臓、肝臓でそれぞれ517±5、509±2、567±10pmol/10min/mg tissueとなりスーパーオキサイド産生量に差はなかった。高血圧症ラット摘出臓器ではそれぞれ1331±482、5910±1094、5627±1122pmol/10min/mg tissueとなり、いずれの臓器でもスーパーオキサイド産生量は多かった。以上、高血圧ラットでスーパーオキサイド産生量が顕著に増加していて、透析患者に頻繁に見られる高血圧の病態形成にスーパーオキサイドが重要な役割を果たしていることが示唆された。
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