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2001 年度 実績報告書

写本校訂に基づくクマーリラのアートマン論研究

研究課題

研究課題/領域番号 13710008
研究種目

奨励研究(A)

研究機関筑紫女学園大学

研究代表者

宇野 智行  筑紫女学園大学, 文学部, 講師 (40331011)

キーワードクマーリラ / アートマン / 偏在性 / ジャイナ教 / 等身大説 / 物理的形態 / 行為主体
研究概要

今年度は,アートマン論章後半部(第110詩節以降)に対する註釈文献の写本校訂とデータベース化,特に『シャルカリカー注』に関する校訂作業を行った.その結果,『シャルカリカー注』が後代の『カーシカー注』『ニャーヤラトナーカラ注』とは文体を著しく異にしており,時代の相違を充分に反映していることが明らかとなった.したがって校訂作業は,後代の2註釈だけでなく,『シャルカリカー注』の他の章や時代的に近接している『タートパリヤティーカー注』(ウンベーカ著,スポータ章まで現存)を参照することが不可欠となった.
他章および他作品のデータベース化は,特に『シャルカリカー注』の他章を中心に行った.既出版本のテキスト入力は完了し,現在写本のテキスト化も随時進行中である.また『タントラヴァールティカ』アプールヴァ論題のジャイナ教批判の箇所を再検討し,クマーリラとジャイナ教の存在論の相違を明らかにした.
以上の作業により以下のような知見が得られた.
1.『シャルカリカー注』の文体は『タートパリヤティーカー注』に極めて類似しており,両者が時代的かつ思想的に近接していることが窺われる.また『シャルカリカー注』作者が参照していた『シュローカヴァールティカ』テキストは,『カーシカー注』作者の参照するものと一致するものが多く,『ニャーヤラトナーカラ注』作者のそれとはやや逸脱している.以上のことからパールタサーラティミシュラのみが,思想的に独自のアートマン理解を提示していることが明らかである.
2.『タントラヴァールティカ』アプールヴァ論題においてクマーリラは,物理的形態を持たないアートマンが運動を為すことを批判し,ジャイナ教の存在論を完全に否定している.またこのジャイナ教存在論批判はシャブダ論題の音声伝達理論を解説する箇所と全くパラレルであり,音声やアートマンを「物理的形態を持つ」と考えるジャイナ教説とは全く相容れないことが明らかとなった.
2の知見に関しては,平成13年9月29日に開催された「第14回ジャイナ教研究会」(大谷大学)において口頭発表した.

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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