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2001 年度 実績報告書

確率モデルに基づく因果帰納の適応的合理分析

研究課題

研究課題/領域番号 13710046
研究種目

奨励研究(A)

研究機関立命館大学

研究代表者

服部 雅史  立命館大学, 文学部, 助教授 (50301643)

キーワード因果推論 / 帰納的推論 / 原因帰属 / 稀少性仮説 / 双条件性仮説 / 条件文推論 / 適応的合理性
研究概要

本年度の研究においては,人間が共変動情報から因果関係を帰納するしくみについて,確率モデルに基づき適応的観点から明らかにした.因果帰納の元となる共変動情報は,原因候補事象(c)と結果事象(e)の生起・不生起に関する2×2の事態表によって表現できる.従来,因果帰納の独立変数として,原因が起きたときに結果が起きる確率P(e|c)と,原因が起きなかったときに結果が起きる確率P(e|not-c)との対比で定義される随伴性の指標が用いられてきた.本研究では,これと異なる観点から,新たに二要因ヒューリスティックス・モデルを提案した.これは,結果の予測可能性P(e|c)と原因の適合性P(c|e)という2つの確率に注目し,両者ともに高い場合に因果帰納が成立すると考えられるものである.このモデルの妥当性について,特に原因と条件の区別に焦点を当てながら実験的に検証した.その結果,一部を除き予測通りの結果が得られ,モデルはほぼ支持された.一方,随伴性の影響も僅かながら見られ,方略の混在性によるものと考えられた.実験結果は,Wason選択課題における推論について適応的観点から提案された希少性仮説(Oaksford & Chater,1994)および双条件性仮説(Hattori,2002)と整合的であった.このことから,このモデルは,現実的環境における適応的なヒューリスティックスとして,非常に優れたものである可能性が示唆された.現在,二要因ヒューリスティックス・モデルの適応的合理性について,コンピュータ・シミュレーションの手法を用いながら,さらに深く究明中である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 服部雅史: "因果帰納の二要因ヒューリスティックス・モデル"認知科学. 8(4). 444-453 (2001)

  • [文献書誌] Masashi Hattori: "A quantitative model of optimal data selection in Wason's selection task"The Quarterly Journal of Experimental Psychology. 55(未定). (2002)

  • [文献書誌] 服部雅史: "条件文推論における方向性"立命館人間科学研究. 3. 1-13 (2002)

  • [文献書誌] 服部雅史, 中川正宣: "条件文推論の学習過程"日本教育工学雑誌. 25(1). 1-12 (2001)

  • [文献書誌] 吉田靖, 服部雅史: "創造的問題解決におけるメタ認知的処理の影響"認知科学. 9(1)(未定). (2002)

  • [文献書誌] 服部雅史, 服部郁子: "ことばの認知科学辞典(第6章分担執筆)"大修館書店. 26(335-360) (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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