研究概要 |
本研究課題において2つの実験が行われ、学会や英文雑誌に報告された。これら2つの実験では、マウスの下丘内に電気刺激を与えて、聴覚性の痙攣と似た痙攣を生起させ、その痙攣が生起する閾値をつという手法をとった。 1つは、マウスの聴覚性痙攣のプライミング効果に下丘が重要な役割を果たしていることを明らかにした研究で、日本動物心理学会、日本神経科学会で発表、Brain Research誌に掲載された。マウスは幼児期に大きな音を聴かせると,数日後に同じ刺激を与えるテストで聴覚痙攣を起こしやすくなる.この聴覚痙攣のプライミング効果の脳内メカニズムはこれまでに明らかにされてこなかった。この研究によって、聴覚痙攣のプライミング効果は、下丘の興奮性の上昇によって生じることが示唆された. もう1つは、下丘内のNMDAレセプターサブユニットNR2Aが聴覚痙攣の生起に重要な役割を果していることを明らかにした研究で、これも日本動物心理学会、日本神経科学会で発表、Molecular Brain Research誌に掲載された.下丘内のNMDAレセプターが聴覚痙攣の生起に関与することが知られていたが、NMDAのどのサブユニットが聴覚性の痙攣に関与しているかどうかは明らかにされていなかった。この研究によりNMDAレセプターサブユニットNR2Aが聴覚様の痙攣の生起と関係が深いこと示された。また遺伝子組み換えマウスの脳内メカニズムと行動との対応関係を調べるのに、この電気刺激法は有効な方法となることを示した。
|