研究概要 |
本研究は、幼児の障害児に関する意識について、幼児がそれを他者にどう語るのか、その言及の検討を通し明らかにすることを目的として計画された。 今年度は、知的障害養護学校との学校間の交流活動(年4回)を経験した幼児について、交流活動の事後に面接者と幼児の対話の場をいかに設定するかについて検討した。交流活動の内容については,遊具等の配置を含め幼児と養護学校児童のどちらもが参加できる環境構成とした。そして,交流活動終了後の当日中に,面接者と幼児の1対1の対話場面及び面接者と複数の幼児の対話場面を設定した。いづれの場面においても,幼児は交流活動についての言及は多く交流活動を楽しい活動と捉えていたが、養護学校児童についての報告は乏しく、養護学校児童について短時間の交流のみでは理解していくことが難しいことが推察された。そこで,交流活動終了後の対話場面の設定として,養護学校児童の交流活動時の写真を用いた写真絵本を作成し,交流活動実施前3日間教室に準備した。そして,その絵本を用い面接者との対話場面の設定を行ったが,幼児は,必ずしも写真の養護学校児童が,当日交流活動に参加した児童とすぐに気付くことは少なかった。交流活動の事前指導としての養護学校児童の紹介のあり方と,事前指導及び活動内容と事後の幼児の養護学校児童に関する言及との関連も含めて検討していく必要性があることが推察された。 なお,幼児が保護者に報告した言及については,降園時に保護者に交流活動があったことを伝え感想文に書いて貰うよう依頼したが,一部の保護者から,幼児の養護学校児童に関する(保護者が感じる)否定的表現を書くことに対して抵抗がみられた。次年度に向けて,交流活動に関する保護者への事前指導の必要性が検討課題として残された。
|