コンピュータ.・ネットワークの普及にともない、多くの企業や教育機関において電子会議が行われている。アイデア創出活動の際用いられる電子会議方法の1つに電子ブレーンストーミングがあり、その生産性の高さは多くの研究によって示されている。 その中で、塚本・坂元(2000)は、電子ブレーンストーミング集団が名義集団よりも、創出したアイデアの独創性が高く、会議における満足感と楽しさを感じ、会議時間を短く捉えていることを明らかにした。そこで本研究では、独創性だけではなく実現可能性の高いアイデア創出を被験者に求め、電子ブレーンストーミング集団と名義集団間で生産性と認知変数を比較した。 また、より生産性の高い電子会議システムを模索するため、電子ブレーンストーミングに評価システムを導入し、その効果を検討した。評価システムは、1)アイデアの創出者がアイデア創出と他のメンパーによるアイデアの評価を同時に行うシステム、2)集団メンバーのうち1名が他のメンバーによるアイデアを評価するシステム3)実験者がメンバーによるアイデアを評価するシステムの3種類であった。評価は得点と記号によって示され、出されたアイデアの横にある評価ボックス内に表示された。 名義集団、電子ブレーンストーミング集団、3種類の評価システム集団、計5集団に対して行った実験の結果、電子ブレーンストーミング集団と名義集団には生産性については差が見られなかった。しかし認知変数に関しては、電子ブレーンストーミング集団が名義集団よりも作業に対する楽しさを感じているということが確認された。評価システム集団は、評価システムの種類に関わらず、名義集団と電子ブレーンストーミング集団よりも生産性は低かった。
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