研究概要 |
(1) 4〜5歳ごろの描画特徴と自己認識との関連(日本応用心理学会、2001): 対の図形があらかじめ描かれた紙(対刺激描画課題)で幼児がどのような絵を描くかを分析し、i)図形の外に描く・なぞる・塗る→ii)図形内への描き込み→iii)図形枠を用いてある場面を構成する、といった3水準の発達的変化がみられた。水準ii)の時期には描き方を変化させる傾向がみられるとともに、自己の変化が認識されること、生活年齢に比して水準が低い、あるいは、「描けない」と言う子どもの場合、自己の変化について言明できないことなどがわかった。 (2) 保育園5歳児クラスにおける「牛ガエル捕まえ」実践の検討-プロジェクト活動としての分析(岐阜大学教育学部研究報告:教育実践研究、2002): H保育園で2001年度上半期に取り組まれた「牛ガエル捕まえ」実践について、レッジョ・エミリアの保育学校におけるプロジェクト実践で重視され探究されてきた観点と5〜6歳児の発達的特徴をふまえて、プロジェクト活動としての展開可能性を分析した。保育者の意図的な介入や問題提起と偶然の出来事による場面の転回点とに留意して実践記録を分節化し、いかに経験(探究)し、いかに表現するのか、そのことがどのような交流(対話)を生み出すのかというプロセスに沿って、a)5,6歳児の科学的好奇心と想像力の活用、b)多様な表現手段の指導、c)親や専門家、地域との共同、の観点から具体的にどう展開するかを考察した。2002年度には、本稿の分析をもとに指導案をたて、同保育士との共同でプロジェクト活動に取り組む予定である。 (3) Reggio Emilia保育学校訪問:2002.3.20〜21の2日間、Panda乳児センターとBalducci校にて保育参観と実践交流会、資料収集を行った。最新のプロジェクト実践を視聴し、「自己認識」の主題は引き続き重視されていること、今後、音楽表現にも尽力されること、同じ主題が異年齢でどう展開されるかについての質的差異の吟味は充分なされておらず課題であることがわかった。
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