研究概要 |
研究の目的 本研究では反射音定位が盲人の姿勢制御に果たす役割を解明することを目的とする。 (1)側面方向の反射音定位が姿勢の動揺に果たす役割を明らかにする。 (2)反射音が前方及び側方に同時提示された場合の姿勢の動揺の様相を明らかにする。 (3)前方向の反射音の変化量と姿勢の動揺の程度との関係を明らかにする。 本年度の研究成果 1.資料収集:実験に先立ち,実験条件の構成及び制御プログラムに関する資料収集を目的として国内研修を行った. 2.実験I『反射音定位の方向と姿勢動揺との関連性に関する実験』 (1)目的:側面方向の反射音定位が姿勢の動揺に果たす役割を明らかにした。 (2)手続き:無響室内に於いて複数のスピーカよりピンクノイズを提示し、聴取時における被験者の身体動揺を測定した.収集したデータはパーソナルコンピュータ(今年度購入)を用いて分析した. (3)被験者・実験補助者:実験の被験者には先天性・後天性盲人及び晴眼者を用いた.被験者及び実験補助者には謝金を支払った. (4)結果:側面方向の仮想壁の往復運動に対して,盲人の被験者は協応的な姿勢の左右方向の動揺を示した.姿勢動揺の程度は前後方向のそれよりも大きいことが明らかとなった.動揺の程度には個人差が認められた.この個人差が仮想壁の動きの知覚の個人差なのか,それとも身体部位の鋭敏さに由来するのか検討する必要が生じた. (5)今後の課題:盲人を対象として,複数の身体部位の仮想壁の動きに対する応答を測定することにより,仮想壁の動きに最も鋭敏に反応する身体部位を明らかにする実験を計画する。これにより、盲人の仮想壁に対する反応の個人差を生起させている要因を明らかにする.
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