研究概要 |
本年度は、学校支援専門員(委嘱は、研究協力者という立場)が、学校組織のうち研究部に関与することにともなう効果と、その実践過程について実証的に記述することを目的とした。学校組織のうち研究部への関与を主軸としたのは、Frost, Durrant, Head, & Holden(2000)による次のような指摘を踏まえてのことである。すなわち、学校現場と研究研修機関がパートナーシップを構築するにあたり、第1の基本原理となるのは、「研究研修機関に属する研究協力者が教育実践経験の豊富な校内のコーディネーターと協働し、学校研究の推進にあたらなければならない。」とするものである。研究協力校では、いわゆる自立活動部が校内のコーディネーター役割を果たしているが、学校研究に対してより包括的な責任を担う研究部との協働のかたちをとった。 本研究協力校においては、教育実践の質的な向上をめざして、一人ひとりの教師の専門性向上はもとより、授業づくりの過程を通じたチームでの問題解決ということを重視した。したがって、教師一人ひとりに対するマネジメント(教師支援活動)のほかに、学年・ブロック・学部単位のマネジメント(校内グループ支援活動)および学校組織全般にわたるマネジメント(学校組織支援活動)を含み込んだ研究協力者の関与が(実践過程において)求められた(事前の教師のニーズ)。このような研究協力者の関与の必要性については、筆者が平成12年度および13年度にS県およびK市の委嘱を受けて実践した「学習障害児に対する指導方法等に関する実践研究」(特別支援教育の領域)のなかでも、示唆されている。 平成14年度は、過去5年間(平成9年度から)の関与の実績をもとに、教師支援活動、校内グループ支援活動、学校組織支援活動を、より自覚的に区分して行い、環境改善要請(大石,2000)へと結びつけなければならない。
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