本研究は、近年増加傾向にある農村の女性起業をとりあげ、その実態と今後の方向性について明らかにすることを目的としている。 平成13年度は、農村女性起業に関する文献・資料の検索・収集を精力的に行った。それら収集資料から、都市地域・平地農業地域・中山間地域の地域特性を考慮に入れ、各々の地域で展開されている農村女性起業のデータベースを作成した。このデータベースをもとに、農村女性起業事例の存在する自治体、および女性起業代表者を対象にインタビュー調査を複数回実施した。この調査は、次年度に予定されている、当該女性起業の構成メンバーのライフヒストリー・ソーシャルネットワーク調査の予備的調査として位置づけられる。なお、日本農業法学会主催の研究会においても報告を行うことで、全般的な農業と環境、かかる農業の転換期における女性起業の意義を考察する視点を得た。 次に、都市の女性起業に関して、近年注目されている「コミュニティ・ビジネス」と女性起業の可能性について、民間NPO団体の代表者から情報を収集し、農村女性起業との比較研究の視点を析出した。 さらに、発展途上国の開発援助における女性起業支援プログラムの位置づけと傾向に関し、特に、東南アジア諸国の現況について専門家から情報提供をいただき、日本の農村女性起業との比較研究を行うための基礎的作業を実施した。
|