平成13年度は3回にわたって北海道での文献資料収集調査を行なった。期間は、(1)7月31日-8月12日、(2)12月7日-12月15日、(3)2月1日-3日で、場所は北海道立図書館・帯広市立図書館・札幌市立中央図書館、などである。資料収集の中心は、「アイヌ文化」や「アイヌ研究」に関する報告書類や1950-60年代の新聞記事情報で、ほぼ見通しどおりの作業を達成することができた。今年度の成果により、これまで代表者自身が収集してきたものに加えて、1950-60年代における北海道内主要紙のほぼ全体を網羅する検索の目処がついた(若干残された分は14年度で補完したい)。この作業の背景や目的は、申請書でも述べたように、当該機はアイヌ民族の政治的な活動の「空白期」にあたり、イデオロギー的な批判や概論を除けば、これまでアイヌ(とそれに関わる「日本人」)の動向に関するまとまった記述や考察がほとんど行なわれていないことにかんがみ、まずは具体的な資料を持って当該機の「空白」を埋めることが必要であると判断されたためである。そして実際に資料収集のかなりの部分をすませた現在、当該機のアイヌ民族/「日本人」関係をこれらの資料に依拠して論ずるための準備が整いつつあることを手ごたえとしてつかんでいる。現在これらの新聞記事を入力してデータベース化する作業と同時に、戦後の「アイヌ研究」・「アイヌ文化」保存活動に関する論点整理を進めており、来年度のさらなる文献調査やインタビュー調査への足掛かりとしておきたい。
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