1.1964年から1991年までの期間について、OECD加盟18カ国の年金制度を対象に、制度の給付と受給にかかわる諸側面を抽出して、そこから制度の特徴を把握するための指標(尺度)を作成しデータベース化した。18カ国とは、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカである。指標を作成する際に用いたデータは、給付水準の上限、給付水準の下限、年金制度の給付構造(1階建て、又は2階建ての制度か)、給付スライドの仕組み、給付単位の構造(世帯単位か個人単位か)、保険料の事業主負担に対する被保険者負担の割合である。この指標と65才以上高齢者の貧困率との相関係数を算出したところ、正の有意な関係が得られた。その結果、この指標を「年金脱貧困化指標」と定義した。 2.年金制度の支出についても上記の期間について各国ごとに時系列的に変化を捉えデータベース化した。 3.年金脱貧困化指標と年金支出に基づき、各国の年金制度をいくつかのグループに類型化した結果、Esping-Andersenによる福祉国家類型とほぼ同じように類型化できることが明らかになった。すなわち、自由主義型年金、保守主義型年金、社会民主主義型年金である。
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