本研究は、土着的な産業及ぴ伝統社会の文化的構造を基礎として形成される子どもの経験領域の全体を「子どもの生活世界」として捉え、そこで行われる子どもの社会化の全体構造の中で学校教育の機能を問うものである。このためフィールド調査に基づき、インド農村において学校普及化が及ぼした影響を、(1)産業・経済活動、(2)社会的規範、(3)言語文化の変容の3視点から検証することがその目的である。平成13年度は(1) 関係資料の収集、(2) 調査地域の選定、(3) 調査事項の洗練を行うこととした。 この目的のため、国内での資料収集の他、5月から6月にかけて10日間インド南部において現地予備調査を行い、また3月に5日間のインドにおける資料収集を行った。 (1) 関係資料の収集に関しては国内外の活用可能な資料を収集した(84点)。収集した資料は、農村地域の学校施設、教育状況、児童労働、経済活動、識字率、就学率等に関する実態調査および基礎統計等。これに従来から収集してきた資料と併せ、200点あまりの資料を収集することが出来たが、児童労働と教育状況に関する資料は未だ十分ではない。これに関してはインドの大学・研究機関等にのみ所蔵されている未収集資料が多数あると考えられる。 (2) 調査地域の選定に関しては、本年度5月〜6月にかけての予備調査において、調査目的から見た地域の妥当性と調査の可能性を考慮して調査対象地域の選定を行った。現在調査が可能な候補地域として3村落を選出している。 (3) 調査事項の洗練に関しては、この予備調査段階において、対象地域の産業人口、学校の就学者数、歴史的経緯、カースト構成、利用可能な施設設備、都市・町への接近性など、本調査において必要となる基礎的な資料は収集し、調査事項を検討しているところである。
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