本研究では、急激な大学改革の中で問われている大学の地域的機能に焦点を当て、特に大学-地域交流・連携に携わる人々の実態や志向性を通して、大学を中心として短大・高専まで含めた地域内での各種高等教育機関の関係構造を総合的に把握することを目的としている。 今年度は初年度ということもあり、まずはパイロットスタディの対象となる福岡県および福岡県を中心とした九州地域(大学としては九州大学)における本研究課題に関する資料(史料を含む)収集を重点的におこなった。この資料収集は、今後一連の研究成果発表の上で基調となるものである。 次に大学-地域交流・連携の実態とそこに関わっている人々の志向性を明らかにするために、当該対象となる高等教育機関、実際に高等教育機関との連携に携わっている行政・企業等地域側の諸組織、および近年増えつつある大学地域交流・連携の「リエゾン機能」を果たしている組織に対してヒアリングを行った。当初、このヒアリングは九州地区内に限定する予定であったが、職務との関連で東京および東北地域のいくつかの産学連携関係諸組織などにもヒアリングをおこなうことができ、本研究遂行にあたり有益なものとなった。 ただし、九州大学以外の九州地域の地域連携組織・企業(北九州テクノアーチなど)へのヒアリング計画の一部に今年度中実現できなかったものがある。また、九州大学を中心とした入手可能な範囲でのデータ分析もまだ中途であり、この部分については次年度に継続される。 なお、この資料収集等の成果については、来年度初頭に発刊予定の「国立大学と地域社会研究会」の分析の中にもすでに生かされている。
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