研究概要 |
平成13年度の研究については、次年度7月に実施予定の養護教諭並びに学校管理職を対象とした「養護教諭の学校経営およびカリキュラム開発への参画調査」(仮題)に向けての予備的調査段階と位置づけ、主として以下の3つの課題について一定の成果をあげることができた。 (1)養護教諭の力量形成および教員研修・養成に関する先行研究を再調査し、教師発達論の視点からライフステージ等の仮題に即しながら整理した。その成果として、(1)養護教諭に求められる保健室経営力量および学校経営的・学校改善的力量をめぐる今日的状況の把握、および(2)教員研修プログラム・システムについての問題点を析出することができた。また、教師発達研究の観点からは、教師の力量形成プロセスやキャリア・ディベロップメントについての先行研究のレビューで得た指標をもとに、(3)養護教諭に適応した「教師の学び=生涯学習」といった視点からの「教師発達」研究の分析枠組みについての仮説的モデルの開発を進めた。 (2)特に、平成13年度においては、2002年度完全実施の「総合的な学習の時間」の運用およびカリキュラム開発に際しての養護教諭の役割および学校保健の視点からの児童生徒の学習活動へのかかわり方やサポートのあり方などについて、それぞれの学校の総合的学習への取り組み状況等に即しながら、実際に総合的な学習のディベロッパーとして参画する中で、養護教諭および教諭に対する聞き取り調査を実施した。飯塚市立飯塚小学校、星野村立仁田原小学校、宗像市立吉武小学校、北九州市立吉田小学校においては、長期的に総合的な学習に関わりながらフィールドワーク的に調査に協力いただくことができ、そこでの養護教諭の学校経営および総合的な学習等の学習への関わり、保健室登校指導に関する動態的なデータを集積することができた。 (3)加えて、平成11年度のアンケート調査(「養護教諭の勤務構造とメンタル・ヘルスに関する調査」全国公立学校養護教諭3,300名対象)について、養護教諭の力量形成の視点からの再分析を試み、養護教諭のライフステージとキャリア・ディベロップメントの様相について考察した。
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