フランスでは、大学の管理運営に学外者の意見を取り入れる手段が講じられている。それは、法的に明確に定められた時点から数えても20年近い歴史を有する。各大学に設けられる3つの評議会-管理評議会(le conseil d'administration)、学術評議会(le conseil scientifique)、教務・大学生活評議会(le conseil des etudes et de la vie univcrsitaire)-は、それぞれ一定割合の学外者構成員(personnalites extericures)を有さなければならないことが、高等教育基本法(Loi no.84-52 du 26 janvier 1984 sur l'enseignement superieur)で定められている。 この学外構成員の現状を分析すると、(1)学外構成員は評議会において少数派である、(2)学外構成員には「地方公共団体」関係者と「経済界」関係者が多い、(3)学外構成員はその人物の持つ人格や知的財産といった人間性に関する事柄よりも肩書き(大学と利害関係を持つ機関・団体等の代表者)に対して議席が割り当てられている、(4)学外構成員の会議への出席率は決して芳しくない、(5)学外構成員は会議において「イエスマン」である場合が多い、(6)学外構成員は自分に関係のある議題には積極的であるが、そうでない議題には関心を示さないことが多い、といったことが指摘できる。 これらのことから、(1)一方で、学外構成員が評議会において少数派であることと、その多くが消極性な姿勢であることにより、大学の経済社会への従属が回避されていること、(2)他方で、学外構成員が特定の機関・団体を代表しているために、一部の積極的な者の活躍により、特定の分野・領域については大学にメリットを生じていること、がフランスにおける学外者の参加システムの特質と言える。
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