本年度は、韓国の族譜に関する資料・図書並びにIT関連の資料・図書の収集を行った。また、インターネットを利用して、族譜をネット上で公開している氏族の実態を調べた。3月には、ソウルで計12日間の調査を行い、インターネット・通信情報と社会生活に関する資料を収集するとともに、族譜のCD-ROM製作を請け負っている出版社を対象に聞き取り調査を行った。さらに、族譜出版社に注文に来ていた顧客にも話を聞いた。 これまでにわかったことは、韓国で族譜のCD-ROM製作が行われてから、まだ日が浅く、それほど族譜のデジタル化が進んでいるわけではないということ、CD-ROMの族譜だけを作ることはなく、あくまでも従来の族譜を出版した上でCD-ROMも作るということである。 初めて、韓国でCD-ROM族譜が出版されたのは1997年のことで、2枚組・3000セットで製作費用は3000万ウォンであった。その後、族譜を発刊するときに、基本の族譜(本)とCD-ROMも一緒に作るケースが増えてきており、現在はそれが趨勢となっているため、20〜30年後には族譜のデジタル化も100%になることが予想されるが、現在の、族譜のデジタル化の進行状況は5%くらいではないかと思われる。韓国全体のIT化が急激に進んでいるのに比べて、族譜のデジタル化の進行がそれほどでもないのは、やはり族譜の製作の中心となる宗親会の高齢者の間で、CD-ROMの認識度がそれほど高くないからだと思われる。 現在韓国で盛んに進められている歴史資料などのデジタル化と違って、族譜の場合、これまでに発刊された族譜をCD-ROM化するわけではなく、新しく族譜を出版する時に、CD-ROMを作ることになる。通常、族譜の発刊は20〜30年に一度であるため、族譜の完全なデジタル化が達成されるには、まだ時間がかかると思われる。
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