1 戦時戦後の廃娼運動・売春反対運動・売買春の実態に関して、以下の史料収集・調査・執筆準備を行なった。 (1)戦時売春問題・廃娼運動に関して、昨年に引き続き群馬県立図書館などで史料収集を行なうと同時に、『廓清』『婦人新報』などの戦前雑誌から関係史料を抽出・入力し、論文執筆の準備を行なった。戦時労働力動員を背景とした売買春の実態と戦後への連続性、新体制下の遊興取締の実態、廃娼運動の担い手と方面委員制度・社会福祉・国民精神総動員運動・大政翼賛会・優生学との関係、戦時における廃娼の主張の地域社会への拡大の回路などに関して新たな知見を獲得しつつあり、論文の構想を深めている。 (2)戦後の沖縄県における売買春の実態に関して、バーの元経営者、元ホステスなどからの聞き取り調査を行なうと同時に、新聞史料調査を行なった。 2 戦間期の廃娼運動・公娼制度政策に関して、以下の論文を執筆、学術雑誌に掲載した。「公娼制度廃止問題の歴史的位置-戦間期日本における勤倹貯蓄と女たち-」『歴史学研究特集 性と権力関係の歴史(I)』764号、2002年7月、2〜12頁。 3 「女性史研究の運動と方法-1950〜60年代の可能性(仮)」というタイトルの論文執筆をすすめている。本稿は『展望日本歴史1 歴史学の現在と未来』東京堂出版(近刊予定)に執筆依頼されたものだが、近年の女性学研究が完全に見落としている1950〜60年代における日本の女性史研究の問題意識とその可能性を論じたものである。
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