平成13年度においてはテロ事件により予定していたイギリスとアメリカにおける資料収集が出来ないと判断したため、韓国の「政府記録保存所」にある朝鮮総督府資料の存在を知り、この資料の収集と分析に主力を注いだ。併合前後の朝鮮における仁川や釜山の列国共同居留地や日本居留地の警察制度、土地登記簿管理、領事裁判権に関する豊富な資料が利用されないまま埋もれていることがわかり、大きな発見となった。また、東京においては情報公開法による資料請求の成果が実り、外交史料館において、戦前の内務省、拓務省、大東亜省等が保有していた朝鮮・台湾の植民地統治関係資料が公開されたため、公開直後に最初の閲覧者として、大量の資料を複写した。また、台湾からの引揚げに関する重要資料が復刻されたため、備品図書の購入はこれに当て、朝鮮での資料は消耗品の中から必要部分を購入した。他に植民地統治関係図書も消耗品として購入し、研究上の便宜を図った。京都での資料調査に関しては予想した成果は今のところ挙がらなかった。来年度は本年度に収集された資料の分析に主力を注ぐとともに、本年度に行えなかった作業を継続することとする。
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