1.平安時代および院政期の平仮名資料について調査・分析を行った。 2.調査資料と分析観点は次の通り。 2-1.音韻変化と平仮名表記との年代的なずれを記述・分析することを目的に、「ん」字の表記およびハ行点呼音の表記を調査・記述した。古今和歌集について、伝公任筆古今和歌集を中心に、高野切第一種・二種・三種・本阿弥切・関戸本・曼殊院本・亀山切・筋切・通切・巻子本・民部切・元永本を調査し、比較対照表を作成、諸本による使用の偏りや傾向について記述を行った。 2-2.草仮名資料を調査し、平仮名資料との違いについて記述・分析を行った。秋萩帖・下絵万葉集切・綾地歌切・神楽和琴秘譜・源兼行筆資料の草仮名部分・自家集切・神歌抄・十五番歌合・深窓秘抄・巻子本古今集・藤原定実筆資料の草仮名部分・石山寺蔵沙彌十戒威儀経角筆点の仮名点などを調査し、字形の変化だけでなく、表音節文字としての機能にも違いがあることを記述した。
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