1.国語調査委員会報告書一群に対する書誌的調査 国語調査委員会が設置された明治35年から大正10年の間に編纂された、『国語国字改良論説年表』(明治37年)、『片仮名・平仮名読ミ書キノ難易ニ関スル実験報告』(同年)、『方言採集簿』(同年)、『音韻分布図』・『音韻調査報告書』(明治38年)、『口語法調査報告書』・『口語法分布図』(明治39・40年)、『送仮名法』(明治40年)、『漢字要覧』(明治41年)、『口語体書簡文ニ関スル調査報告』(明治44年)、『疑問仮名遣』(明治45年)、『口語法』(大正5年)、『口語法別記』(大正6年)等の報告書に対し成立経過や錯簡、校勘等の書誌的調査を行った。なお、明治期刊行物に顕著な刷別の異同等にも配慮するべく、東京大学附属図書館を始めとする初版所蔵図書館の現状調査を並行する形で実施した。 2.国語調査委員会委員の史的調査 国語調査委員会委員・補助委員として委嘱された明治・大正期研究者に対する史的調査を行った。 具体的には、今日ある程度明らかになっている芳賀矢一、加藤弘之、新村出、前島密、保科孝一、大槻文彦、大矢透、亀田次郎、山田孝雄らの事跡調査を補完すると共に、木村正辞、金沢庄三郎、藤岡勝二など、今日では国文学者、比較言語学者などといったように、断片的にしか認識されていない委員らに対する史的調査を実施した。 以上、1・2の調査結果の一部をもとにして、平成13年12月8日には、奈良女子大学で開催された第69回国語語彙史研究会において「送り仮名法と国語調査委員会」と題する研究発表を行った。
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