1.国語調査委員会の日本語学史的検討 前年度に検討を行った国語調査委員会編纂事業のうち、特に明治40(1907)年刊行『送仮名法』の成立に至るまでの送り仮名法制定経緯について、文法研究との関係から検討を試みた。具体的な成果として、第一に、従来あまり明確でなかった送り仮名法の系統について、おおよその流れが示された。このことにより、国語調査委員会編の『送仮名法』が、送り仮名法における整理統合の結果であることが改めて確認された。第二に、国語調査委員会編の『送仮名法』が、大槻・芳賀の文法学説に依拠して編纂されていることが示された。第三に、国語教育における送り仮名法については、完璧に統一されていたわけではなくゆれも生じており、あえて問題点を避ける傾向にあった可能性について言及した。 2.抄出すべき報告書のデータ作成 上記『送仮名法』について、全文をテキストファイルとしてコンピュータ入力の作業を実施した。また、国語調査委員会全体の流れを把握する目的から、明治後期国語施策の簡易年表を作成した。かかる成果については、将来ホームページ等での公開を可能にするべく、インターネットに関する大学ネットワーク管理機関と調整中である。
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