本年度に行った研究は、以下の3点である。 (1)明治期往来物の調査・収集 国立国会図書館において明治期往来物の調査を行うとともに、文献複写を行った。また、大阪府立図書館、大阪府立中之島図書館においても明治期往来物の調査を行った。これと調査と並行して、古書店からの明治期往来物の購入を進めた。 以上の調査・収集の結果、調査・収集した明治期往来物の数は、本研究実施以前に調査したものもふくめて、合計250点となった。 なお、国立国会図書館、大阪府立中之島図書館における調査では、明治期往来物の資料的性格の分析を行う際の参考とするため、近世期の往来物の調査も合わせて実施した。 (2)明治期往来物の書誌的調査、整理・分類ならびに調査文献データベースの作成 調査・収集した往来物については、随時、分類・整理を行い、調査文献データベースに登録した。なお、書誌的調査の調査項目は、以下のとおりである。 調査項目:外題 内題 柱題 編著者 刊行者 刊行年 大きさ 丁数 本文の書体 例文数 所蔵 目録番号・請求記号 頭書 付録 その他 なお、現時点で、調査・収集した250点の明治期往来物すべてについて、書誌的調査を完了している。 (3)資料的性格を分析するための定型表現の使用実態調査 調査文献データベースへの登録が終了した往来物を対象として、定型表現の使用実態調査に着手した。 男子用往来物については、頭語・結語、および相手への依頼を表す「〜べく候」の使用実態調査を進めた。女子用往来物については、文末辞「参らせ候」の使用実態調査を進めた。
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