今年度は、新感覚派文学に特徴的な言語観を、1920年代出版メディアの拡大にともなう文学受容の場及びメディア状況の変容という視点から解明するべく、研究を進めた。具体的には、当該研究を進めるための調査および資料収集を、国内では早稲田大学図書館、日本近代文学館を中心に、海外では中国・上海の上海図書館で(今年度は予備調査)行った。それと同時に、逐次、公表可能なものから論文することにつとめた。 当該研究の成果の部は、日本近代文学会6月例会(2001年6月23日於・大妻女子大学)で、「新感覚派の市場性」として報告した。そしてその一部を、-「交錯する雑誌のゆくえ-「文藝時代」と「文藝春秋」」(「文学」岩波書店2001年7月)として発表、これに続く論文を現在まとめつつある。なお、本研究と関連する成果として、「方法としてのモダニズム-横光利一『上海』『機械』」(週刊朝日百科「世界の文学」95 朝日新聞社 2001年5月20日)がある。
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