研究概要 |
本年度の計画した研究の主な内容とその研究成果について以下に列挙したい。 1.ドイツ語,日本語における談話トピックをデータベースを用いて分析するための理論的,経験的な研究を行う。 研究成果:談話トピックを割り出すための頻度調査を行った。データベースとしては,ドイツ語圏で代表的とみなされているコーパス(Mannheimer Korpus,Limas Korpusなど)の各種コーパスを入手し,コーパス解析ソフトを用い,談話における各種の語の頻度調査を行った。これにより品詞ごとにどのようなバリエーションを設定したらよいか(名詞句の格語尾,冠詞の有無および動詞句の語形変化の問題など)についての予備調査を行った。日本語におけるデータベース分析については,来年度の課題となった。 2.ドイツ語,日本語において,文トピックのコード化の研究を動詞の種類における分布のことなりについて,特に主語との対比においての記述を行う。 研究成果:文トピックと動詞の他動性についての研究をとりわけドイツ語,日本語受動態の使用の実際についてのデータベース分析に基づいた研究を行った。その研究成果を,日本独文学会第29回言語学ゼミナールにおいて口頭発表し,その後これについての研究論文をまとめた。 また主語と文トピックの関係について,スロベニア・リュブリアナ大学で行われた第36回言語学コロキウムにおいて研究発表を行った。その後,この問題について研究論文をまとめた。 3.ドイツ語の不変化詞のトピック表示における役割についてデータベースの分析も用いて詳細な分析を行い,文トピックの特性を探る。 研究成果:不変化詞selbstについて,ドイツ語とそれに対応する日本語の「自分で」について,その統語的意味的特性の研究を行った。これについて,平成13年秋季独文学会研究発表会(信州大学)において研究発表を行った。その後,この問題についての研究論文をまとめた。
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