全体的に古代から近代までの日韓酒宴歌謡は、韓国の酒宴歌謡は日本のように主人側とお客側の歌の区分がない。また、日本の酒宴歌謡で一般的に歌われる始め歌・お客誉め歌・送り歌・立歌・鼻歌にあたるものは見られない。酒宴と歌謡を歌われる場を中心として労働と祝いの場においての性格を考察してみた。また、酒宴と歌謡との関係についても考察をしてみた。この中で、古代から現代までの歌謡と社会的な働きや酒宴儀式などの文化的な面は日韓共通的な面が見えた。古代歌謡の現代歌謡への伝承の面を現在のところで指摘すると日韓それぞれ次のようになる。 ◆日本 代表的な近世調を現代の演歌の中から調べてみると7575調、7775調、7777調の順に見えた。また、現代演歌の特徴として、9798調、77105調、108108調、99調などのような音数率も見えた。 現代日本の演歌の中には日本の近世歌謡の中の儒教的な内容の歌謡と枝は栄える葉もしげる、花のお江戸、親の意見と冷や酒は飲んだらあとからきくものさ、恋蛍などの代表的な近世歌謡の一部か近世歌謡の中によく見える言葉が見える。これからの研究ではこれらのことをもっと具体的に考察して行きたい。日本の古代酒宴歌謡のテーマを調べてみると酒自体に関するもの、肴に関するもの、酒徳や効果に関するものが、お酌取りと祝いの内容の順に見えた。 ◆韓国 酒宴歌謡の構造として勧酒歌と謝酒歌の場合には「導入部1・2」「展開部」「終結部」に分けて考えることができ、「構造1」と「構造2」が一番多く見られた。騒ぎ歌の場合には多様な内容の歌が歌われていた。それらは「導入部」「展開部」「終結部」に分けて考えることができ、その中で目的の内容が終結部に表れている「構造1-b」がもっとも多く見られた。 次に、古代歌謡の現代歌謡への伝承の面で、まず、韓国の古代歌謡と日本の演歌にあたるTrotとの関係を調べたところ古代からの伝統的な音数率である4444調はTrotの中では、4444調、3444調、4454調、4544調、4434調の順に見えた。また、特徴として古代では見られなかった133調、3232調、343調、424調などのような音数率も見えた。 また、古代韓国酒宴歌謡のテーマを調べてみると享楽主義、恋に関するもの、性に関するもの、恨みの内容の順に見えた。
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