今年度は、アレクサンドロスに関するアラビア語・ペルシア語一次資料の収集(海外での調査も含む)および原典テキストの入力、そのテキストの英訳作成、キーワード選定などの作業を行った。それと同時に、これらのテキストおよび付加情報を格納し検索するためのデータベースの基本的な枠組を設計した。当データベース(「イスカンダル・データベース」)は、検索語の入力やデータ出力に際して、アラビア語、ペルシア語、英語、フランス語、ドイツ語等を用いた多言語環境を実現させることを想定している。このような、アラビア文字や特殊転写文字が組み込まれたデータベースを、最終的にインターネット上で他の研究者に公開し、あらゆるオペレーティング・システム上で正常に表示、作動させることを可能にするために、入出力システムの開発を専門家に依頼した。研究協力者としてイスカンダル・データベースの開発に携わってもらっているのは、組み版ソフトTeXシステムで用いられる、転写文字による特殊文字変換に類似した入出力方法をインターネット上で一部実現した「文字焼きMultilingual Imager for Web」を開発した山口県立大学国際文化学部情報処理研究室の永崎研宣氏であり、同氏の専門的知識の提供を得て、試験的な検索システムが本年度中にほぼ完成する予定である。 次年度はデータの収集・入力を続行しつつ、永崎氏の協力を得ながらデータベースの改良を行う。
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