平成14年度においては、昨年度に引き続いて、鎌倉幕府の裁判において和与(和解)の成立した際に作成されるところの、裁判手続上見られる関係文書に関する整理および検討作業を進めた。 また、和与をめぐる裁判文書の基礎的史料群の原本に関する調査研究にも着手した。 和与をめぐる裁判手続に関する検討作業を進めた結果として、和与をめぐる裁判手続のアウトラインを示すことが出来たが、この成果は研究論文「鎌倉幕府の裁判における和与関係文書に関する若干の検討」(二)〜(三・完)として公表するところとなった。 他方では、陽明文庫所蔵の丹波國宮田荘をめぐる裁判関係文書に関する整理・翻刻作業を進める一方、本間美術館所蔵の市河文書に関する詳細な原本調査を実施した。 前者の成果については、研究報告書『前近代日本社会における「和解」の法史的意義に関する基礎的研究』として纏めたが、後者については来年度以降、その成果を纏めていく予定である。なお、本研究報告書の行った整理検討作業により、鎌倉時代における宮田荘をめぐる訴訟関係文書の全容を把握するための準備作業が整ったことになるであろう。
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