平成12年の改正で、商法に会社分割の制度が創設されたことを受けて、平成13年度税制改正において、法人税法に組織再編税制が導入された。租税特別措置法レベルではあるが、既に平成12年度改正で、(平成11年の商法改正を受けた)株式交換・株式移転税制が作られていたこととあわせて考えるならば、わが国の法人税法(講学上)のなかにも、本格的に法人組織税制という領域が出来上がってきたといえる。 今の日本法がアメリカ法から学ぶべきことは、組織再編税制という法が創造され、活動し、そして変遷してきたその過程である。また、規定相互の整合性や具体的運用に関しても、アメリカ法から示唆を得るところは大きい。 適格組織再編成の基準や要件は、企業が効率的な事業形態へ変化していくことを不必要に阻害するようなものであってはならず、その一方で、制度を利用した租税回避についても備えておく必要がある。この二つは、両方とも、適格組織再編減に関する要件等の内容と、その背後にあるポリシーの明確性を要請するのであって、決して矛盾するものではない。当該明確性によって、納税者の予測可能性も担保されることになる。 企業組織再編税制は、まだできたばかりの制度であり、これからも改正を繰り返すことが予想される。今後は、現在、措置法に規定されている株式交換・株式移転税制が、法人税法本法の組織再編税制に取り組まれるであろうし、その場合には、各適格要件の全般的な見直しを行う必要がある。 商法と税法の関係では、商法の基準が、税法上の目的に照らして適正であるなら、それを税法の基準として採用しても構わないが、もともと商法と税法では、目的が必ずしも一致しているわけではないのであるから、必要に応じて、税法独自の視点で制度のあり方を考えることも重要である。
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