データベースにかかる創作投資の保護について以下の点について研究を行った。 1.著作権法のよるデータベースの保護 13年度に引き続き、著作権法によるデータベースの保護に関し、裁判例、学説をフォローし、分析を行った。 2.その他の法制度による保護 不法行為による保護、技術的保護手段の回避行為規制による補完的保護に関し、日本法及びアメリカ法の状況を検討した。その結果、両者によりデータベースにかかる創作投資について、一定の救済が可能であることが明らかとなったが、前者については要件の不明確性や差止めが認められないこと等、後者については、情報の独占を生じさせる危険性等の問題から、より適切な保護制度として新規立法の必要性は否定されないとの結論を得た。 3.独自立法に関する国際的動向 データベースの保護に関するECディレクティブ、アメリカにおける立法案の内容及びそれに対する学説の議論を検討、分析を行った。さらに、近時の世界知的所有権機構(WIPO)の著作権等常設委員会における議論状況、EC各国の裁判所におけるディレクティブの具体的な解釈・適用についても検討し、データベースの保護制度として、競争関係に着目した行為規制型制度(報酬請求権との組み合わせも含む)が妥当であるとの結論を得た。 なお、以上の研究をまとめたものを信山社より出版予定である。
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