本年度は、次のような点に注目して、技術的側面と法的側面から現状を把握した。 1.技術動向 再生医療に関連する研究の状況、再生医療に関連するベンチャー企業の活動状況等について、データベースや文献を用いて調査した。 2.特許クレームの動向 米国ジェロン社、ACT社などの代表的な再生医療ベンチャーが取得した特許について、特許請求の範囲(クレーム)を調査し、どのような文言で記載がなされ、戦略的な権利範囲の設定が行われているかを調査した。また、日米欧それぞれの特許庁の審査基準を調査し、再生医療分野のクレーム記載に影響を与える要因をピックアップした。 3.社会的リアクションの整理 再生医療技術に対する特許付与に関連して、それに対する報道、特許庁に対する抗議行動など、社会的反応の動向を整理した。 4.訴訟の動向 日本における「公序良俗に反する対象には特許を付与しない」とする特許法32条に関連した裁判、米欧における細胞の所有権をめぐる裁判、欧州における遺伝子組み換えマウスをめぐる異議申立と特許庁の決定、という各国で議論を引き起こした事例に着目し、検討を行った。ES細胞の使用権をめぐってジェロン社とウィスコンシン大学の間で生じた紛争についても、詳細な調査を行った。
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