本研究は、IT革命期である現在において《経済社会の変革に応じて契約法がいかに変容するか、すべきか》という一般的問題を、「契約の相対効」という伝統的契約法の原則を素材として検討することを目的とする。本年度は、次の3つの作業を予定していた。 【1】UCITAと経済産業省『電子商取引等に関する準則』の比較検討 【2】UCC第2編改正作業の法的背景および政治的背景の分析 【3】UCC第2編改正作業にみられる「保証書」に関する理論分析 これらに関連して、今期においては、改正UCC第2編の起草者ヘンリー・ゲイブリエル教授との共同研究関係を確立できたことが特筆すべきである(九州大学に非常勤講師としての招聘もおこなった)。これによって、アメリカの法状況の情報収集が一段とスムーズに行えるようになった。今期においては、上記について裏面掲記の業績を公表したのに加えて、【1】については、平成15年中に論文公表を予定している。【2】については、当初予定していた現地調査(海外出張)は、ゲイブリエル教授の来日、および、調査対象としていた会議での実質的な審議が平成15年5月に順延になったために中止した。平成15年5月の会議後に論文を公表することを予定している。【3】については、「契約の相対効」という観点から、消費者契約との関連で内閣府国民生活局で講演と、医療関係者向けの講演(直接の契約関係にたたない医師と患者の関係という観点から)を行った。「保証書」に関する研究成果は、【2】に関する論文のなかであわせて公表する予定である。
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