本研究は、連邦法および州法におけるフランチャイズに関する規制がどのような形で構築されているかについて、実態調査を含めた包括的な検討を行うことを目的としているが、初年度である本年度は、まず、連邦フランチャイズ法の規定及び判例の整理及び検討を行い、その上で州レベルの規定との関連について検討を行った。 連邦レベルのフランチャイズ法としては、石油及び自動車の販売に関するフランチャイズに関して制定されている。このうち、自動車販売の分野のフランチャイズ法(自動車ディーラー法)は、連邦レベルのフランチャイズの規定としてはFTC開示規則を別にすると最初に制定されたものであるが、メーカーがディーラーと取り引きする際に誠実性を要求するものである。州がこれを補完する形で州法を制定することを妨げないため、ほとんどすべての州においてディーラー法が制定されている。この州法はメーカーへの規制を強める形で推移してきており、近年は特にメーカーが小売りを行うことを禁止する規定が、インターネット上での販売方法の普及とともに問題となってきている。しかし、メーカーの小売りを禁止する州法は、取引の現状を考えるとき、一定の意義を有していることを明らかにした。 連邦石油フランチャイズ法は、自動車ディーラー法と対照的に専占条項を有しており、州がこれと反する法律を定めることはできないが、これに関して、一定の州法が連邦法と同様の規定であるか否かが判例においては問題となっており、その判断については、州法が対象とする行為によって分かれていることも検討によって明らかとなった。 来年度は、上記検討結果をふまえて、米国の現状についてのヒアリング調査を行う予定である。
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