まず、平成13年度の文献調査をもとに、1.国際的「public」システムによる公正労働基準設定、2.国際的「non-public」システムによる公正労働基準設定、3.貿易関連システムによる公正労働基準設定という角度からの研究を進めた。その結果、目的・手段アプローチからの国際公正労働基準の法的再構成を行うこと、再構成にあたっては各設定主体の組織法上の内在的限界に着目すべきこと、各機関の連携に関する法的理由付けが必要になっていることについて、一定の知見を得た。 次に、研究をより実証的なものとするために、国際労働機関、欧州連合、国際自由労連、その他国際的活動を行っている労働組合所属のエクスパートを直接訪問して、平成13年度研究で得られた知見に関するレビューを受けた。各機関の取組の最近の動向を知ることができるとともに、各機関間の連携という問題が一層重要になっていることを学ぶことができた。 最後に、上記の研究を経て、本研究の成果であると思われる、次の3点(主に法学的観点)について、現在、論文執筆中である。1.国際公正労働基準とアジア諸国の労働法制の関連、2.国際公正労働基準におけるマルチスタンダードとその基準、3.国際公正労働基準の再構成-目的・手段アプローチから-上記の研究活動および各論文の執筆を経て、最終的には、本課題に関するモノグラフの完成を目標にしている。ただし、上記論文公表の前に、海外調査等で知ることができた、各機関の最近の取組について、紹介論文という形での公表を行う予定である。
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