この研究の目的は、日米英の消費者団体の政策過程における選好・行動・成果を、各々の組織それ自体の特徴よりも、それが形成する連合の特徴によって、つまり組織が持つ属性という組織内要因よりも、組織の持つ関係という組織間要因によって説明することであった。そこで今年度は、(1)消費者団体に関する組織論の再検討、(2)OECD諸国の消費者団体に関するデータベースの作成、(3)米英両国の消費者団体の規制緩和における選好・行動・成果の取材を実施することとした。このうちまず(1)については、当初は消費者団体を既成の組織として組織間関係論の観点からネットワーク分析する予定であったが、同団体はその成立の際してすでに他組織の強い影響を受けていることが分かったため、ネットワーク分析をする以前に、改めて同団体の発生に関する理論的検討を行わざるをえなかった。(2)については、依然として主要国のみについてであるが、おもに各種刊行文献、インターネット、メールなどを通じて、消費者団体の主要指標に関するデータベースを作成した。(3)については、まず英国の消費者団体について、9月に訪英し4つの消費者団体、および国際消費者機構(CI)を取材した。それに対して米国の消費者団体については、9月のテロ事件の影響で訪米できなかったため、詳細な取材については来年度に実施せざるをえなくなった。米英両国の規制緩和については、おもに各種刊行文献による研究を実施し、その成果の一部を『公共政策の国際比較』として公刊することとなった。なお本研究に関連して、ユタ大学のロバート・メイヤー教授と共同研究することとなり、日米両国の消費者団体について、各種の情報交換を実施した。
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