本年度は、現代西欧の政治経済体制の比較分析に向けた理論的枠組の構築とイタリアを中心とした各国の状況に関する基礎的調査を課題とした。前者については、政治経済学や政党政治の理論の文献に当たって、政策ネットワークの変容について特に研究を進めた。後者については、文献・新聞雑誌などを通じた通常の情報収集の他に、6月にイタリアの研究機関・公文書館を軸に現地調査を行った。以上の研究・調査作業に基づき、次のような成果取りまとめ・公表に向けた作業を行った。 原型となる戦後西欧の政治経済体制の成立過程と政党政治の関係については、所属研究機関に提出する助手論文として「『政策調整』と政党政治-イタリアにおける国際援助の執行と産業政策(1943年-1953年)」を執筆した。この論文については、3月にイタリア近現代史研究会で報告を行う他、平成14年度中に紀要『社会科学研究』にて公刊を予定している。さらに、近年のイタリアの政治変動で着目されているテクノクラート論について、書評という形で研究動向レヴューを発表した。 東西冷戦終結後の政党政治の変化については、6月に川崎市民アカデミーにおいて「現代ヨーロッパの政治-社会民主主義の視点から:イタリア-中道左派政権の実績」という題目で、ヨーロッパの中道左派政権の政策を、イタリアの文脈に重点を置いて報告した。また、ヨーロッパ統合の進展と政党政治の変化について、1月に日本国際問題研究所において報告を行った。この成果は報告書として提出されて、刊行に向けて編集中である。
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