平成13年度は以下の研究実績をあげることができた。 1.オランダ国籍法と植民地住民との関連について。 オランダにおいて国籍が成立するとともに、植民地の住民がどのような法的地位を与えられるようになったのかを国籍法の成立及びその後の改正過程から研究調査した。この調査により、1850年の国籍法成立によってオランダ国籍から排除された植民地の住民に対して、1892年と1910年に国籍の付与が議論されたことが判明した。 2.蘭印統治法における住民区分の概観について。 オランダ領東インドに1854年に施行された蘭印統治法を調査した。統治法は、植民地に居住する住民に対して法的な住民区分を設けていた。今年度の研究により、法的な住民区分には三つの範疇が存在していたことを明らかにした。さらに、これらの住民区分が導入される時点の立法過程に関する資料を収集することができた。 3.上記研究については研究会にて報告する機会を得た。 次年度の研究は以下の諸点に焦点を絞りたい。 1.国籍法の改正に伴う植民地住民の法的地位 1892年と1910年に改正された国籍法の立法過程を検討することから、植民地住民に対する法的地位がどのように変更されたのかを跡付けていきたい。 2.蘭印統治法における住民区分の改正 蘭印統治法における住民区分は、その後植民地の政治的環境の変化と共に改正が加えられていく。オランダ本国における議論と植民地行政部との連関に注意しつつ、統治法の住民区分に対する本国ならびに植民地側の認識について明らかにしたい。 3.現時点での成果を論文として執筆中である。
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