平成14年度は、以下の研究実績を上げることができた。 1.蘭印統治法における住民区分について。 前年度から継続して研究してきた植民地の住民区分について、論文をまとめ、公表した(「オランダ植民地統治途方の支配--統治法109条による『ヨーロッパ人』と『原住民』の創出--」『東南アジア研究』40巻2号、2002年9月)。 2.現在のオランダ社会における西インド植民地統治の遺産 平成14年8月にオランダで現地調査をおこなう過程で、東インドのみならず西インドにおけるオランダ植民地統治についても知見を深めることができた。とりわけ、奴隷制の歴史が、現在のオランダにおいてどのような影響を及ぼしているのか、アムステルダムで除幕された奴隷制の記念碑をめぐる政治的動向を整理して、短い文章にまとめた(「帝国の過去・小国の記憶--奴隷制の記憶の共有をめぐって--」『創文』2002年10月号)。 3.オランダの市民権の歴史的変遷について 以上の研究は、オランダの市民権の歴史的変遷と密接な関連を有している。この点についても概観を整理すると共に、学会で報告する機会を得た(日本国際政治学会2002年度研究大会)。 4.オランダ憲法に関する研究 研究の過程でオランダにおける憲法の歴史的変遷を調査していたが、これに関して国会図書館からの依頼により報告書を作成した(「オランダの憲法事情」『諸外国の憲法事情』2002年7月)。 以上、今年度は学会報告1、研究論文3本の成果を上げることができた。
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