平成13年度は徳富蘇峰の生誕から思想形成期(1863〜80年)に重点を置いて研究を行った。 1 蘇峰の祖先の事跡をたどり、水俣市での現地調査と各種文献などによって、蘇峰の思想形成に寄与することとなる徳富家の精神的環境の重要面が明らかとなった。 2 私塾時代(1870〜74年)の蘇峰が読んだ和本、漢籍を考査し、水俣市立蘇峰記念館、二宮徳富蘇峰記念館、熊本大学図書館所蔵の資料によって、蘇峰が培った和漢の精神世界が具体的に明らかとなった。 3 熊本洋学校時代(1875〜76年)の蘇峰が読んだ教科書を考査し、熊本県立大学図書館、アメリカ議会図書館、イェール大学図書館の資料によって、蘇峰が培ったアメリカ的な洋学の精神世界が具体的に明らかとなった。 4 同志社英学校時代(1876〜80年)の蘇峰が読んだ教科書を考査し、同志社大学図書館、宮徳富蘇峰記念館、アメリカ議会図書館、イェール大学図書館の資料によって、蘇峰が培ったアメリカ的な洋学の精神世界が具体的に明らかとなった。 5 アメリカの図書館での調査によって、これまで未発掘であった蘇峰関連の英文書簡、日記類を発見することができ、蘇峰のアメリカ観の発展を知る上で貴重な手がかりをつかむことができた。 以上、第一から第四点については「少年期の徳富蘇峰とアメリカ」、第五点については「徳富蘇峰とアメリカ人の交流」(いずれも仮題)として平成14年度内に論文を公刊する予定である。
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