研究概要 |
昨年度に確立した基本モデルでは、2財一般均衡モデルの一部門をハイテク産業(例えば、パソコンの製造など)とした。この部門の労働者は能力に応じた賃金を受け取る、つまり、効率賃金仮設に従うと仮定した。もう一つの部門は製造産業である。例えば、自動車や機械の製造など。この部門における企業は、労働組合に加入している。組合員の雇用と賃金は企業の経営者と労働組合の間で結ばれた協定で決まる。 今年度では上記で確立したモデルをもとに、輸入品との競争と直接投資を導入し、国内の雇用と賃金に与える影響の分析を行った。そして、下記のようにさまざまな要因に対して、比較静学分析を行った:輸入競争の引き上げ、外資の参入、技術の進展、移民、労働組合の弱まりなど。それぞれの要因が資源の配分や労働の効率性や賃金の構造などに重要な影響が与えることが明らかになった。 また、加えて同様のテーマで研究を行っている国内外の研究者(米国のTexas州政府の研究者など、また国内は神戸大学や神戸外国語大学の研究者など)と意見交換などを活発に行ったり、2002年10月に広島大学で行われた「日本経済学会」そして11月にHong Kong大学で行われた学会にも出席し、研究成果の部を発表した。 最後に、理論モデルは「Globalization, Unionization and Efficiency Wages」を題に論文を完成させ、国際的学術雑誌に投稿中である。
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