研究概要 |
本年度では、予定通り基礎的な統計・資料の収集および入力と分析ツールの作成を主に行い、平行してマクロ、マイクロの産業構造に関する分析を行った。統計に関しては、データが存在する昭和9年以降から現在までの日本の鉱工業生産指数をデータファイル化した。現在、この入力した長期の産業データに基づき日本の生産、産業構造の変化等に関する分析を行っている最中である。理論面に関しては、動的最適化問題の数値解法に関する研究会を学内で開き、様々なアルゴリズムをプログラム化し、分析ツールの作成を行った。他国に関しては、途上国の債務問題に関する研究会((財)国際金融情報センター主催)に参加し、公的債務削減に関するIMFのルールと標準的なマクロ理論に基づくルールのもつ非整合性に関して分析を行っている。暫定的な結果は財務省のwebに掲載予定である。 マイクロの側面に関しては、電気機器産業に関する上場企業の、企業統治関係を含む詳細なデータベースを作成し、現在は化学産業に関するデータの作成を行っている。本年度では、入力した電気機器産業のデータに基づき、確率的生産可能性フロンティアを用い日本企業の効率性と統治に関する分析を行った。その結果、銀行との長期的な関係は企業の効率性を向上させていないこと、しかしながら統治関係に関しては何らかのインセンティブ関係に影響を与えていることを明らかにした。この成果は『経済研究』の2002年vol53, No2に掲載予定である。
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