研究概要 |
平成14年度は、ロシアの電力部門の詳細な統計データ・資料の奴集・整理を継続し、過剰雇用規模の推計と過剰雇用に伴うコストの計算を試み、研究の成果の学会発表・論文執筆の形での公表を行った。具体的には,比較経済体制学会第42回全国大会共通論題「移行諸国の産業構造転換」ロシアの産業構造転換パートで「電力・燃料工業と就業構造変化」と題する報告を行う(2001年6月7日(金)〜6月8日(土)、於岡山大学)とともに、そこでの議論をもとに同学会年報への論文執筆の作業を行った(査読済み)。 研究の過程で、過剰雇用の規模が大きい電力以外にも、規模(人数)は大きくないが、その傾向が強いガス・石油産業の過剰雇用の問題にも取り組み、体制転換後のロシアで生産を低下させつつ雇用を拡大することにより過剰雇用が生じるという共通の動態を示している電力・燃料(石炭を除く)全体に研究対象を拡張し、問題へのよりトータルな接近を試みた。 研究の結果として、ロシア全体とくらべて平均賃金が最も高い部門である電力・燃料(石炭を除く)部門において、例外的に生産低下と雇用拡大の同時進行が可能であるような特殊な条件として、(1)賃金がコストに占める比重が小さい費用構造を有していること、(2)極めて高い収益性を備えた部門であること,(3)そして同部門において体制転換後の労働市場に固有の賃金未払いが大規模に見られるということも関係する要因の1つであることを明らかにした。
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