研究概要 |
本年度は以下のことに取り組んだ。第1に,Nakayama(2002)"Public Goods Provisio nunder Imperfect Competition"をベースに最適な社会資本整備政策を考察した。この論文ではNakayama(2001)"Spatial Competition and Accumulation of Public Capital"のモデルを簡単化(中間財部門を捨象)したモデルを用い,Nakayama(2001)では出来なかった均衡配分と最適配分における公共財(社会資本)の水準を直接比較している。そして,均衡における民間部門の生産高を最大化する公共財の水準と社会厚生を最大化する最適な公共財の水準が一致すること,および均衡における小売業者数が最適な場合と比較して過大であることを,分析の結果として明らかにしている。また,最後に均衡において社会厚生を最大化するための政策を提案している。これらの結論を基に生産関連社会資本と生活関連社会資本の区別・労働者の地域間移動を前提としたモデルを現在構築中である。第2に,社会資本整備に関する既存の実証研究の展望,および上記のNakayama(2001)で得られた結果を,著書『流通システムの構造分析』の「第4章社会資本整備と垂直的市場構造」としてまとめた。
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