研究概要 |
本研究の目的は、一般線形回帰モデルにおける一般化最小2乗推定量(Generalized Least Squares Estimator, GLSE)の小標本における効率性の評価の問題に関して新たな理論的展開を得ることである。1年目である平成13年度は、申請書に記載した研究計画の中で、(1)非線形Gauss-Markov定理の一般化に関連する問題、(2)見かけ上無関係な回帰(seemingly unrelated regression, SUR)モデルにおけるGLSEの効率性評価に関連する問題の2点について進展が得られた。以下それぞれについて述べてゆく。 (1)Kariya(1985)、Kariya and Toyooka(1385)によって証明された非線形Gauss-Markov定理を更に一般化する問題に関する研究を完成させた。結果を記載した論文はJournal of Multivariate Analysis誌に採択された(Kariya and Kurata(2002))。 (2)方程式数がp≧2であるようなSURモデルの回帰係数ベクトルの推定量として、方程式間の相関を無視した通常最小2乗推定量(OLSE)と、相関(分散共分散行列)の推定値を利用した一般化最小2乗推定量とがある。よく知られる通り、方程式間の相関が弱いとき、OLSEの分散行列はGLSEのそれよりも小であり、逆の場合は逆の結果が成り立つため、方程式間の相関係数が0であるか否かの検定がしばしば必要となる。本研究では、相関係数が全て非負であるようなSURモデルの下での独立性の片側検定として、King and Wu(1997)によって一般的な形で定式化された局所最良平均検出力不変(localy most mean powerful invariant、LMMPI)検定を導出した(Kurata(2001)、投稿中)。
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