本研究は、近年世界的な潮流となっている経済グローバル化と発展途上国における労働(の関係)について、80年代半ば以降、途上国の中でも急速且つドラスティックに経済自由化・グローバル化が進んだ好例とされるメキシコにおける自動車産業の事例を基に考察することを目的とした。上記の目的に対し、今年度(2001年度)は、国内での文献調査を終えた後、8月にメキシコ(メキシコシティ)において現地調査を行った。 メキシコ現地においては、本研究が対象とする自動車産業を中心に、最近の労働事情や労働組合問題を扱った研究(文献)や、関連資料等を複数の大学・研究所等で収集したほか、メキシコ政府機関や企業の労働組合幹部、企業経営者等、関係者に対する聞き取り調査を実施した。これら関係者に対するインタビュー調査を通じ、近年の労働組合や労働運動の実態、労組に対するグローバル化の影響等について、理解を深めることができた。また、メキシコでは80年代半ば以降の経済自由化・輸出指向路線の中で、(自動車セクターにおいても)マキラドーラ(保税加工企業)が、中心的な役割を担ってきた訳であるが、このマキラドーラが廃止(2001年1月)された後における最近の産業および労働事情について、今回(特にインタビュー調査を通じ)新たな知見が得られ、大きな収穫となった。 帰国後においては、現地調査の結果を整理・分析するとともに、この現地調査を含め、それまでの研究成果を学術雑誌論文にまとめる作業に従事した(同論文は、2002年2月末頃に学術雑誌『Odysseus』に発表予定)。
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